待ち合わせ時間の十分前に、私たちは待ち合わせ場所の喫茶店に着いた。


すると、入口の近くに少し地味目の大人の女性が立っていた。


私はその人を知らなかったけど、その人が忍のお母さんに違いないと、直感的に思っていた。


その人のさみしげな雰囲気がどことなく忍に似ていたから。


私と雄一はその女性の前に歩いていき、雄一がその女性に話しかけた。


「あのう、もしかして忍さんのお母さんですか?」


雄一がそう話しかけると、その女性は小さくうなずき、雄一に言葉を返した。


「忍の母の明恵です。

昨日電話をくれた忍のクラスメイトの方ですよね」


私は忍のお母さんに会えたことにホッとしていた。


この人はきっと忍の遺書がある場所を知っているはずだから。