「お母さん、オレたちに忍さんの遺書があるその場所を教えてもらえませんか?

オレたちは忍さんが伝えたかったことを知りたいんです」


「わかったわ」


雄一の言葉に一拍間を置いて忍のお母さんが話し始めた。


「明日の午前11時、駅前の喫茶店『スイートタイム』で会いましょう。

そのお店は私と忍が最後に話したお店なの。

忍と別々に暮らして八年経って、もう私には忍の話をする相手がいないから……。

忍を知っているあなたたちに私は会いたい」


私たちには予想外の提案だったが、私たちにその提案を断る選択肢はなかった。


もう少しで忍の遺書にたどり着ける。


これで忍の呪いを解けるのだから。


「わかりました。

明日の午前11時、駅前の喫茶店『スイートタイム』ですね。

必ず行きます。

ありがとうございました」


雄一は忍のお母さんと会うことを約束すると電話を切った。


そして雄一は笑顔を見せながら、私の方へと目を向けていた。