その疑問が解けたのは、江藤君が落ち着いてからだった。


「真央はあまり学校に行ってなかったから、クラスメートにだけ知らせることになったよ」


両親と会話をして戻ってきた江藤君がそう教えてくれたのだ。


あたしたちが真央ちゃんの死を知らなかったのは、そういう敬意があったからだったみたいだ。


「そっか」


あたしは短く答えた。


あたしはお葬式には行きたいな。


そう思ったけれど、今はまだなにも言えなかった。


それから江藤君は両親とともに病院を出て、あたしと里香はバスに乗って家の最寄駅まで戻ってきていた。


「これがループの原因なのかな?」


バスを降りて歩きながら里香が聞いてくる。


「関係あるのかもしれない。ループに気がつく前までは真央ちゃんの存在も、真央ちゃんが死んだことも誰も知らなかったと思うから」


待合室でひどく落ち込んでいた江藤君を思い出すと、まだ胸が苦しくなる。


この3日後に江藤君は死んでいるのだ。


もしかして自殺……なんて、よくない考えが浮かんできてしまう。


もし自殺だったとしても江藤君はなにか心残りがあるはずだ。


じゃなきゃループを繰り返すこともないはずだし。


でも、それがなんなのかまだわからなかった。


いろいろと考えている内に家が見えてきて、里香と別れて自宅へと戻ったのだった。