ほろ苦彼氏の甘い口づけ

ドキッと心臓が音を立てる。


確かにあの時、コーヒーの味が移って苦みを感じた。だけど、あからさまに顔に出してはいない。

一瞬、眉間に力が入っただけ。……私の記憶が正しければ。



「……気づいてた?」

「まぁ……長年一緒にいるし。多少の表情の変化くらいわかるよ」



前回断られた理由から、口臭を気にしているのかなと思っていた。

しかし、原因は私の正直な反応だった。


振り返ってみたら、先週食べていたドーナツはコーヒー味。

食事に行った日も、水と一緒にコーヒーを飲んでいた。


そして……今日私が買ってきたチョコも、コーヒー味。

そりゃ気を遣うに決まってるよ……!



「ごめん! コーヒーの味がして……ちょっとゔってきちゃった」

「そうだったんだ。驚かせてごめんな」

「ううん。嬉しかったよ。でも、どうして? 外でイチャつくの、好きじゃなかったよね?」



真相を知れて良かった反面、疑問点が浮かび上がる。

それは、なぜ人目につく外でキスをしたのだろうかということ。