すぐさま着替えを済ませ、騎士達の元へ向かう。ブラッドが伝えた通り、ユーリに私が王太子であることがわからないよう、謙った態度をとる者はいない。

「私も参加したいのだが、よかったか?」

「もちろんです」

すかさずブラッドが前に出る。

まずは様子を見学する。入団したばかりの騎士達に目を向ける。クリスと名乗る王太子に気後しているのか、若干力が入りすぎてしまっているようだ。

その中に、ユーリを見つけた。異世界から来た女に、初めてここまで近付いたが……なるほど。髪の短さもあって、日没後、薄暗い中で見かければ、まるで男のように見えそうだ。最初、ブラッドが見間違えたのも頷ける。

それはともかく、剣を持ち、ものすごい集中力で前を見据えるその鋭い目には、男だとか女だとか関係なく、興味が湧いてくる。こういう目をする人間は嫌いじゃない。

騎士達とは少しばかり様子が違うが、どうやら一心不乱に素振りをしているらしい。軽快な足捌きは、体に馴染んだ動きだとわかる。ブラッドの報告では、剣道といったか?詳しくはわからないが、ユーリの様子を見れば、かなりその道を極めており、プライドを持って取り組んでいるのがよくわかる。