「なんだ、あれは?」

林の中を馬に乗った屈強な男達が、さほど速くはないスピードで駆けていく。その先頭を行く騎士が、前方に何かを見つけてさらにスピードを落とした。

「どうした?」

後ろから一際大きな体つきの男が、先頭へ合流する。

「団長、あそこに何かあるんですが……」

男が指差す方へ目を向けると、地面に何かが置かれているのが見える。暗闇に向けてランプを高く掲げさせる。危険性は低いように見えるが、緊張を高めたままゆっくりと取り囲むように近づいて行く。

「人か……」

部下を制して、一歩前に進み出る。
馬を降りて近付けば、随分小柄で風変わりな衣服を身に付けた男が横たわっていた。

意識はないようだ。
そっと首筋に手を当ててみたところ、脈拍を感じる。見たところ、怪我もなさそうだ。気を失っているだけか。

「生きているようだ。このままにするわけにはいかない。城へ連れて行くぞ」

横たわる男を抱き上げると、小柄な見た目通り、随分と軽い。そして……随分と柔らかい。
様子を見ながら抱え直すと、あることに気付いて一瞬体が硬直する、

女……?