外堀は埋めてあった。ダメ押しの伝言もブラッドに託してあった。それでもほんのわずか、受け入れてもらえないかもしれないという不安は残った。

しかし、彼女は私を受け入れてくれた。その瞬間、胸が震えるような、言葉にできない温かい気持ちに包まれた。


ただ、浮かれてばかりもいられない。

身分や出自のはっきりしないユーリを、手放しで受け入れる貴族も長老もいないだろう。現にレジーナがたてついてきたぐらいだ。
おまけに、私は側室を置くつもりはないと宣言した。おそらく、貴族達はこのまま黙って引き下がりはしないだろう。

ユーリ自身に短剣を持たせているのは、そのせいもある。本当ならば、彼女を危険な目にあわせるようなことはしたくない。けれども、私の隣に立つ以上、いつ何時どんなことがあるかわからない。もちろん、ユーリを守るための手は尽くすが。

ユーリを知る前、妃を迎え入れなければならないのなら、貴族と何のしがらみもない、私の邪魔にならない者をと思っていた。

しかし、ユーリに出会ってその考えは変わった。
守られるだけの王妃ならば、私には必要がない。共に背中合わせで戦える王妃を、私は求める。

それには、ユーリしかいない。