「それじゃ、キミは目を閉じて。

そして頭は空っぽにするんだよ」



僕はフローラに言われたように目を閉じた。



「僕が今から三つ数えたら、キミは異世界転生するんだよ」



僕はフローラの女の子らしい声をぼんやりとした意識の中で聞いていた。



本当にダメな僕が異世界で賢者になんてなれるのかと思いながら……。



「それじゃ、キミが異世界転生するカウントダウンを始めるよ。

キミは疑わずに私を信じて」



フローラの声を聞きながら、僕の頭の中に元の世界にいた自分の姿が浮かんでいた。



僕は学校に馴染めず、一人も友達がいなかった。



そんな僕は学校から帰ると、家に引きこもり、アニメを見ていた。



アニメの大好きなキャラクターたちは、いつだって僕の気持ちを裏切らない大切な僕の友達だった。



「それじゃ、カウントダウン開始！

3……、2……」



そんな僕が母さんに頼まれて、仕方なく銀行に行ったとき、僕は銀行強盗の人質になり、脱出を試みたときに銀行強盗に殺された。



それは僕にお似合いのみじめな人生の終わりだった。



神様は最後の最後まで、僕のことを嫌っていたらしい。



でも、ここにいるセクシーでかわいらしい女神のフローラは、僕を最強の賢者にしてくれと言ってくれた。



それはきっとアニオタの夢だ。



僕は今から憧れの二次元の世界に入っていくような気持ちになってる。