僕がブライアンに回復薬を飲ませた一分後、ブライアンはようやく目を開けた。



そして僕は、ブライアンが目を覚ましたことがうれしくて、目を覚ましたばかりのブライアンに話しかけていた。



「ブライアン!

やっと目を開けてくれた!

僕はブライアンがもう助からないんじゃないかって、心のどこかで思ってて……。

でも、ブライアンはやっぱり強いよ!

さすがは僕たちのリーダーだよ!」



僕はブライアンにそう言うと、本当にうれしくて、みっともなく泣いていた。



僕は異世界転生して、最強の賢者になれたはずなのに、どうやらカッコ良さとはまだ無縁みたいだ。



僕の中には、元の世界の但野明彦が染みついていて、カッコ良く振る舞うのが苦手だった。



そんなダメな僕が流れ落ちる涙を拭ったとき、意識を取り戻したブライアンが僕に話しかけてきた。



「何泣いてんだよ。

このオレが死ぬわけねぇだろ。

オレは最強の勇者、ブライアン・シェリー。

世界を救うためにこの世に生まれてきた男だぜ」



僕はブライアンがいつものように、軽口を叩いて、カッコつけているのがうれしかった。



やっぱり僕たちのリーダー、ブライアンには、いつでもカッコつけててもらわないと困る。



ブライアンが軽口を叩いてカッコつけるとき、僕たちはそんなブライアンに呆れながらも、最強の勇者、ブライアンと仲間でいれることを誇りに思っているから……。



僕はブライアンに出会えて、本当に良かった。



最強のパーティの一員でいれて、本当に幸せだ。



僕はこの世界で、ブライアンたちと共にベルミータ国を救いたい。



闇の魔王、ダーギルを倒して、ベルミータ国に日の光を取り戻したい。