「私はウソをつかないのです。

ウソをついたら女神様になれないのです」



「まぁ、それもそうですね」



僕はフローラの子供っぽい言葉に戸惑いながら、かわいらしい童顔のフローラに目を向けた。



フローラは長い黒髪に胸元のはだけた水色のドレスを身に着け、頭には金色のティアラをつけていた。



それは童顔のかわいらしい女の子が女神のコスプレをしているみたいで、アニオタの僕としてはフローラがとても魅力的に見えていた。



「キミのように自信がなさそうな男の子でも、私の能力を使えば、最強の賢者になれちゃうんだよ。

これってすごくない?」



セクシーでかわいらしい女神様にそんなことを言われると、自分が死んでしまったという嫌な現実も忘れてしまいそうだった。



僕は自分が最強の賢者になる姿を想像して、その後にまた深いため息をついていた。



「どうしてキミはため息をつくのかな?

今から私の能力で最強の賢者になれるのに」



フローラは最強の夢設定を提示されたはずの僕がため息をついたことが不満で、僕の顔をのぞき込んでた。



僕はそんな女神様の気持ちを察して、女神様に僕という人間を説明し始めた。



「女神様、僕は自分で言うのもなんですけど、どちらかというとダメ系な人間で……。

具体的に説明するなら、僕はアニオタ、引きこもり、友達いない系の高校一年生で……。

そんな僕が急に最強の賢者になれると言われても……」



フローラは歯切れの悪い言葉を並べる僕にイライラしながら、僕を指差してこう言った。



「あぁぁぁぁっ。

その自信のなさにイライラしちゃうよ。

せっかく私が夢の好条件を出してあげてるのに!」



イライラしているフローラに、僕はポツリとこう言った。



「ごめんなさい、女神様。

僕、長い間、劣等感の中で生きてきて、心が深く病んでいるんです」



僕がフローラにそう言うと、フローラはイライラしている態度を改め、急に慈愛に満ちた表情を僕に見せ、僕の顔をのぞき込んだ。



「キミ、重症だね。

憧れの夢設定に胸が弾まない若者なんて……。

それじゃ、心が病んでるキミに夢の好設定を追加しちゃうよ。

最強の賢者に転生したキミは最強の勇者たちとパーティを組んじゃうの。

そうすれば、キミが頑張らなくてもキミは闇の魔王を倒せちゃうんだよ」