「クックックッ……。

貴様のその傲慢さが、貴様の寿命を縮めるだろう。

そして貴様が自分の傲慢さを後悔し始めたとき、貴様の命はこの世にない」



ダーギルがそう言ったあと、ダーギルの影のような肉体が分裂して、ものすごい勢いで増え始めた。



その数は十を越え、二十を越え、さらにダーギルは自らの分身を増やしていく。



ダーギルの影のような実態は、いくらでも分裂可能で、何体にでも増やせるのだということを僕たちは初めて知った。



そして、その分裂したダーギルの分身たちが、一斉にブライアンに襲いかかった。



僕はたった一人で何十体ものダーギルと戦わなくてはいけないブライアンの身を案じた。



ダーギルと一対一で戦おうなんて、ダーギルが言う通り、ブライアンが傲慢過ぎたのではないだろうか？



ブライアンは自分の強さを過信していたのではないだろうか？



僕がそんな心配をしている中、ブライアンはまるで光のような速さで、ダーギルの分身へと踏み込んでいった。



そして僕は、その瞬間をドキドキしながら見ていた。



闇の魔王、ダーギルと最強の勇者、ブライアンの一対一の真剣勝負が、僕たちが見守る中で、ついに始まろうとしていた。