「よし、敵のお出ましか。

あの階段は細くて狭い。

パーティのリーダーであるこのオレが、先頭をきってあの階段を上っていくぜ」



僕はブライアンの電光石火の剣さばきを何度も見て、ブライアンの強さを知っていた。



そのブライアンが僕たちの先頭に立って戦ってくれるならば心強い。



僕がそう思っているとき、リリーがブライアンの言葉にちょっかいをかけてきた。



「そうだよ。

ブライアンは頑張らなくちゃ。

ブライアンはダーギルの二大将と戦ってたとき、少しも役に立たなかったんだから」



リリーはブライアンが一番気にしていることをピンポイントで攻撃してきた。



リリーは優しくて、かわいらしいけど、ブライアンに対してだけは、本当に攻撃的だった。



「あの戦いはだな、相手が女だから本気を出せなかったんだよ」



「えー、本当にそれだけ?

だってブライアンはさ、敵の女吸血鬼に後ろから抱きつかれて、だらしない顔で血を吸われてたんだよ」



「あれは油断しただけだ。

今度は油断なんてしない。

絶対に!」



ブライアンはそう言うと、背中に背負っている鞘から剣を抜き、その剣を握りしめて、お城の階段へと走り出した。



「行くぜ、みんな。

闇の魔王、ダーギルまであと少しだ」



僕たちはブライアンのその声に反応して走り出した。



僕の大切な仲間たちとの最後の戦いが今から始まる。



僕はそう思うと、今から起きる大切な仲間たちとのすべてを、この目に焼きつけたいと心から思った。



この異世界で、みんなと仲間になれたこと。



みんなと一緒に戦えたこと。



みんなと同じ目標に向かって頑張れたこと。



そのすべてがみんな奇跡みたいな出来事だ。



僕は仲間たちの最後尾を走りながら、大切な仲間たちの背中を見つめていた。



ブライアン、マギー、そしてリリー。



もう二度と、こんなに素晴らしい仲間たちと出会えないと僕は思う。



だから僕はそんな最高の仲間たちと最後まで全力で戦いたい。