病んでる僕と最強の勇者たち

僕とリリーはお城の西側の大地に立ち、辺りを埋め尽くすようなモンスターたちと向き合っていた。



(僕は本当にこのモンスターたちと戦えるのか?

敵の数は万を越えている。

そんなたくさんの敵をこの僕が……)



僕がそんなことを思いながら、不安にかられているとき、リリーが僕の不安を見透かしているかのように、僕に話しかけてきた。



「明彦君、表情が固いよ。

リラックス、リラックス」



「何言ってんだよ、リリー。

状況が状況だよ。

僕たちはたった二人で、あの一万を越えるような数のモンスターと戦わなくちゃいけないんだよ。

それなのに、リラックスだなんて……」



僕はこんな窮地の中で笑っていられるリリーとは違う。



僕は戦闘の経験が極端に少ないから、自分は強いと自分に言い聞かせても、少しも自信が沸いてこなかった。



それどころか、僕の記憶の中で、ヘタレだった頃の明彦の姿ばかりが鮮明に残っていて、消えてはくれない。



僕の心の中の闇がこの窮地の中で、しだいに広がっていくのを感じていた。



でもそんなとき、リリーが明るい声で僕にこう言ってきた。