「これね、必殺フライパンの術っていうの」


「香織さん、すごいです!」


得意げにフライパンを掲げた香織さんに、私、思わず拍手。


「ああっ?」


すると私の声が聞こえたからか、ベッドに乗ったままの永瀬くんが、不機嫌そうに眉をひそめた。


わっ。
香織さんの影に隠れていたのに、見つかっちゃった。


「ご、ごめんなさいっ」


学校で見るよりも恐ろしいその瞳に、私はそそくさと部屋を出て行った。


……あとで怒られませんように!




今朝のメニューは、香織さんお手製のフレンチトースト。


あとは、目玉焼きにサラダにフルーツ。


「わ~、このフレンチトーストすっごく美味しいです!」


朝からこんな美味しいご飯が食べられるなんて幸せすぎるな~。


うちはいつも白米にお味噌汁だったから、洋食の朝食はすごく新鮮。