「分かりました。永瀬くんの好きなものはハンバーグで、苦手なものはにんじんですね」


相沢は、俺にチラッと視線をやって、確認するように元気に言った。


だから繰り返すなっての!


「やだ小春ちゃん、永瀬くんなんて他人行儀な呼び方じゃなくて、朔でいいわよ~」


しかも、んなこと言いやがるし。


他人だろうが!


「えっ? あのっ、でもっ……」


相沢はおどおどしながら俺を見る。


「朔もよ。小春ちゃんのこと、小春ちゃんて呼びなさいよ」


「んっ、ごほっ……!」


お茶が喉につまってむせた。


つうか、呼ぶかよ!


「ねえ小春ちゃん、いいわよね?」


俺の気も知らない母さんは、相沢にまで同意を求めるが……。


「は、はぁ……」


相沢は、チラッと俺に顔を向けて……目が合うとサッと逸らした。


……なんだ? そのビビりようは。