ビクンッ!


まるで、全身の毛が逆立つほどの悪寒が走る。


永瀬くんと目が合ったのなんて初めてかも。


言葉を掛けられたのだって初めて。


「きょ、今日からお世話になりますっ……」


苦手だけど、立場上ムシするわけにもいかなくて。


カタコトになってしまったけど、なんとかそう口にした。


「ふふふっ……楽しくなりそうだわっ。さあ、夕飯にしましょ~♪」


いそいそとキッチンに向かう香織さんを目で追うと、視界の隅に映るのは、ペットボトルに口をつけている永瀬くん……。


これは……夢?


私、永瀬くんの家でお世話になるの……?


そんなのありえないんだけど!!!


楽しくなりそうだと思った瞬間、地獄に突き落とされたような気分だった。