眠っているときは、ちょっとやそっとじゃ起きないもんね。


寝顔を眺めちゃおう。


ふふふ。


なんて幸せな時間だろう。


今、朔くんの寝顔をひとり占めしてるんだよ?


こんな贅沢ってないよね。


けれど不意に唇に目が行き、昨日のキスを思いだして、胸がドクンッと鳴った──その時。


「きゃっ……!」


触れてもいないのに、朔くんの手が伸びてきて、私はベッドの中へ引きづりこまれた。


ええっ!


突然のことに、なにが起きたのか分からない。


そう思っている間に、背中は柔らかなスプリングに沈み込む。


そして私の上では……。


「遅いよ、小春」


不敵に微笑む朔くんの姿があった。


さらりと落ちる髪の隙間からのぞく瞳は、私をまっすぐにとらえている。


私はあっという間に朔くんに組み敷かれていた。