「……うん」


恥ずかしさを押さえながらうなずくと、朔くんは私をぎゅっと抱きしめた。


「やべえ……俺、今すごいドキドキしてる」


「……私も、だよ……」


もう、どっちの鼓動か分からない。


速くて大きい鼓動が混ざり合う。それがまた恥ずかしさを助長させる。


「じゃあさ、小春は俺のものってことでいいの?」


へ……?


俺のもの……って。


「えっと……そういうことに……なるの、かな?」


恥ずかしかったけど、そう言ってみれば。


「可愛すぎだろ、小春」


ぎゅーっと、もっともっときつく抱きしめられた。


わわっ。


「これ、もしかしたら夢……?」


私を抱きしめながら、おかしなことを言うからクスッと笑ってしまう。


「小春を抱きしめてるのって、いつも夢から覚めたあとだよな」


「うん、だから夢じゃないよ」


「そうだな、現実だよな」


私のほうが夢かもしれないって思ってる。


でも、絶対に覚めてほしくない夢。


光を浴びたシーツの中で、私たちはしばらく抱き合っていた。


きっと、世界中で今、私が一番幸せ。


そう、感じながら。