「あーやっぱ無理、ちょっと頭痛くなってきた。私お風呂洗って来るね!」


机にばんっと両手をついて立ち上がると、小春は逃げるように風呂場へ向かった。


ふっ……。


そんな行動のひとつひとつが可愛くてたまんねえ。


毎日毎日ひとつ屋根の下で暮らして、目覚めには小春を抱きしめて。


よく、俺我慢できてるよな。我ながらすげーと思う。


……でも、小春だから大切にしたいし、これでも必死に理性と闘ってんだ。


一緒の家に暮らしてる男が、自分に好意を寄せてるなんて知ったら、小春はどう思う?


気持ち悪いって思うか……?


あの副会長のことは、どう思ってるんだ?


映画にしつこく誘ってた場面に遭遇して、嫉妬と焦りが一気に襲ってきた。


自分のなかに、こんな感情があったことに戸惑った反面、それだけ俺は小春のことが好きなんだと自覚もした。