「鼻の下、伸びてるぞ」


突然顔を私の方に向けたと思ったら、そんなことを言ってくる朔くん。


「えっ!?」


慌てて鼻の下を触ると、


「ぷっ」


って笑われた。


あ、騙された!


「もうっ!」


その場でぶうっと膨れると、


「ほら、遅れるぞ」


「あっ、そうだった」


ようやく朔くんが手を離して小走りするから、私もその後に続いた。


その背中を追いかけながら、好きの気持ちが大きくなっていく。


真希ちゃんは、期待させるようなことを言ってくれるけど、そんなこと絶対にないよ。


真希ちゃんや蘭子ちゃんみたいなキレイで大人っぽい女の人じゃないと、釣り合わないのは分かってるし。


それでも。


……朔くん、好きです。


いつか、この想いをつたえられる日は来るのかな……。