そこへ、割り込んできた声は朔くんだった。


朔くん!?


私がびっくりしているなか、チラッと平井先輩に視線を注いだ朔くんは、


「行くぞ。遅れたらまずいだろ」


私の手首をガシッと握った。


えええっ!


そんな行為におどろきながらも、どこかで助かったとホッとしている私。


そして思い出す。


そうだ。次の化学は先生が厳しくて、絶対に遅刻しちゃまずい教科なんだった!


「す、すみませんっ」


私は平井先輩に頭を下げると、朔くんに引っ張られるようにしてその場を離れた。


それでも、手を離してくれない朔くん。


じわじわと顔が熱くなっていく。


黙ったまま歩く朔くんの顔をそっと見上げる。


……もしかして、話の内容聞かれてた?