「てか、そう思ってもらってもいいんだけど」


えっ……!


そんなことを言われたら、ますます行きにくいよ。


柔らかい笑みで、私の返事を待っている平井先輩。


「で、でも……」


前の私だったら、行ったかもしれない。


でも、今はあんまり気が進まないんだ。


……朔くんを好きになったから。


「見に行きたいと思ってたんでしょ? だったらよくない?」


それでも渋っていると、少しイラっとしたような平井先輩の声が飛んできた。


あ……。


この間も家に行くのを断っているし、なにを警戒してんだよって思われてるのかも。


私ごときが、平井先輩のお誘いを迷うとかそんなの100万年早いってわかってるけど。


やっぱり……平井先輩とは行けないよ。


映画は、大好きな人とデートで行きたいっていう憧れがあったから。


「小春、なにやってんの」