ここへ来てから、自分のためっていうより、朔くんのためにご飯を作っていることに気づく。


沢山食べてもらえるように、とか。少しでも好き嫌いをなくしてもらうようにとか。


でも、誰かのためにつくるご飯っていいよね。


餃子のタネを作り終えてダイニングテーブルに移動し、皮に包もうとしていた時。


──ガチャガチャ。


玄関で騒々しい音がして、びくっと肩があがった。


えっ、誰……?


朔くんが帰って来るにはまだ早いし。


そう思っている間にリビングへ入ってきたのは、思いっきり息を切らした朔くんだった。


「はあっ……小春っ……」


「朔くん!? ど、どうしたの? こんなに早く……」


だってまだ4時。


学校が終わってすぐに帰る私だって、まだ家についてない時間。


それに朔くんは、友達と話したり遊んだりしてきて、いつも帰りはもっと遅いのに。