「小春が、その……嫌がらせをされてたこと……。だから、もしかしたら今回もそうかもって、金子が言ったんだ」
「そ、そうだったんだ……」
朔くんにバレちゃったんだね。
思わず下を向く。
「心臓、止まりそうになった」
すごく苦しそうな顔で朔くんは言った。
それからすぐに学校に来て、隅から隅まで探してくれたと聞いて、胸がいっぱいになる。
「金子も一緒に行くって言ってくれたけど、雨だし夜だから、とりあえず俺だけで探しに行って、戻ってから来てもらったんだ」
「……ありがとう」
「カバンが、屋上の入り口に落ちてた」
差し出されたのは、私のスマホだった。
ああ……あのとき奪われた鞄は、そこに捨てられたんだ。
スマホの中を開けると、不在着信が何十件も残っていた。
真希ちゃんからも数件あったけど、ほかは全部朔くん。
どれだけ探してくれたのかがわかる。



