ジェンダーレスの概念のせいか、先生も『朔くんはそうなんだよね』って、俺を男の子の輪を入れようとはしなかった。


当時の俺も、その事にまったく違和感を感じていなかったんだ。


「……無理」


なにか言わないとこの場を収集できないと思い、放った一言。


すると、目の前の女子は「ふえっ……」と声を上げて泣き出した。


その瞬間、見守っていた女子がすっ飛んできて、俺に鋭い目を向ける。


「ナナはずっとあんたのことが好きだったんだからね!」


……だからなんだよ。


「さいってー」


もうひとりも俺に向かって、暴言を吐く。


だったら、遊びでつき合えっていうのか?


好きでもないのにつき合う男のほうが、最低じゃねえの?