なのに、朔くんは無反応。


能面のような顔をして、私をじっと見てる。


……もしかして、バカにしてる?


「そんなの、相手が覚えてるワケないって思ってるんでしょ」


私はちょっと膨れる。


でも、きっと覚えてくれてる。そう信じてるんだから。


「指輪もくれたの、可愛いでしょ」


この間、真希ちゃんたちにしたみたいに、手を広げて見せる。


「へー……」


思った通り、反応は薄くて。


……つまんないの。


男の子に見せてもしょうがないか。


「興味ないか……じゃあ、ご飯つくるね」


私は立ち上がって、キッチンへ向かった。



夕飯の時間、朔くんはなんだかうわの空だった。
 

魂が抜けちゃったみたいに。


どうしたんだろう?


無言の食事のBGMは、ゴーゴーとなる雨風の音だけだった。