「あのぅ……」


目線を下げれば、瞳をうるうるさせながら俺を見つめている女。


話したこともないのに好きってなんだよ。


女なんて、所詮男の外見しか見てねえくせに。


俺は……女心がイヤってほどわかるんだ……。


俺には、7歳年上の双子の姉がいる。


物心ついたころから、俺は姉たちのおもちゃだった。


髪の毛は女子並みに長く、ときにはおさげ、ときにはポニーテール。スカートをはかされ、化粧をさせられ。


アニメといえば、魔法を使って変身する女子戦隊もの。


ライダーやレンジャーものには、まったく触れずに過ごした。


そうすると、必然的にも幼稚園での友達は女の子ばかり。


引っ込みじあんだった俺は、いつも女子のボスにいいように扱われていた。