さっきの上半身を思い出して、ドキッとする。


一瞬だったけど、細身に見えてしっかりと筋肉のついた男の子らしい体だった。


寝ぼけて抱きしめられた時に、がっしりしているなぁとは思っていたけど、その筋肉のせいだったんだ。


……って、そのときの感覚がリアルによみがえり、顔が熱くなる。


「どうかした?」


「へっ? ううんっ……。そ、そうっ、テレビでも数年に一度の大雨だって言ってる」


恥ずかしさをごまかすように、つけていたテレビの音量を上げた。


テレビでは、レインコートを着たお兄さんが、海岸から中継している映像が流れていた。


マイクを持っている手はびしょぬれで、なんだか気の毒……。


朔くんは、ソファに座りテレビを食い入るように見つめる。


「さっきは、本当にごめんね」


私は、ホットココアを朔くんの目の前に置いた。