イライラして足を踏み鳴らしながらチラ見していると、そいつがあり得ないことを言う。


「よかったら、家に子猫見に来ない?」


……は?


なにサラッと家に誘ってんだよ。


そんなの行くわけ──


「ええっ、いいんですか!?」


おいっ、行くのかよ!


ウソだろ!? 


俺は目を見開く。


なんの危機感もなくニコニコしている小春。


「うん。明後日なら、生徒会の仕事もないし」


「行きます! 猫ちゃんて何が好きなんだろう。やっぱりちゅーるですか? ふふっ、沢山買って持っていきますね」


「きっと喜ぶよ。じゃあ、明後日放課後、教室まで迎えに来るから」


エセくさい笑顔なんて見せやがって。


真面目腐った頭んなかでは、いやらしいことばっか考えてんだろ。


「はい! じゃあまた明日」


小春は俺に気づかず、スキップしながら教室に戻っていった。


チッ。


絶対に行かせるかよ。


家に帰ったら、とことん追求してやるからな。


結局その日、俺は一日イライラがおさまらなかった。