『サイテー』


けれど、関われば、すぐに手のひらを返される。


もちろん、嫌ってくれって意味でそうしてんだけど。


……俺って、小春が一番キライなタイプなんじゃねえの……?


そう思ったら、胸ん中がモヤモヤした。


「そうっ、そうなのっ。小春ちゃんよくわかってる!」


頭を撫でているつもりなんだろうけど、頭頂部がひっかきまわされている。


癖のない小春のストーレートの髪が、さらさらっと揺れる。


「絶対にアイツを見返してやるんだから!」


「そうです! そのいきです!」


「小春ちゃんてばほんとにいい子~、大好き~」


両手を広げて小春に抱き着く姉貴。


「グーグー……」


そのうち姉貴はそのまま寝てしまい、大きないびきが聞こえてきた。


小春はそんな姉貴を支えようと、背筋をピンと伸ばしている。


「その辺転がしといていいから」


「でも……」


ためらう小春に、俺は姉貴の体をはがし、ソファに転がした。