さっきから二階では、目覚まし時計の音が鳴り響いてる。


ここでこれだけうるさいのに起きないってどういうこと!?


「はぁ~」


朔くんとふたりで暮らすうえで、一番困るもの。


それは、起こしに行かなきゃいけないってこと!


起こす度に抱きつかれるかと思ったら、やっぱり尻込みしちゃう。


男の子に抱き締められるなんて、恋愛経験のない私にとったら、それはもう未知との遭遇の域だもん。


香織さんみたいに、フライパン作戦はどうかな?


なんて考えている間にも、時間は刻々と過ぎていく。


遅刻したら大変だし……私は意を決して朔くんの部屋に向かう。


手には、脱衣所にあったツッパリ棒。


これで遠くから体をゆすれば、抱き着かれることがないと思ったんだ。


うん、我ながらいいアイデア!