エレベーター

☆☆☆

ふと、目が覚めた。


眠った時間は短かったみたいだけれど、深く眠れたことで頭は随分スッキリとしていた。


それなのに……目の前の光景にあたしは何度も瞬きを繰り返していた。


「なにこれ……」


そう呟いて上半身を起こす。


あたしは自分のベッドで眠っていたはずなのに、1年B組の教室で目が覚めていたのだ。


慌てて自分の服装を確認すると、制服になっている。


ベッドに入る前、ちゃんと着替えたはずなのに……。


「どうなってるの……?」


恐る恐る立ち上がり、教室内を確認する。


それはいつも見慣れている教室で間違いなさそうだった。


立ち上がるとスカートのポケットに重みを感じて手を入れた。


爪さきが硬い物に触れてそれを引っ張り出す。


やはり、自分がいつも使っているスマホだ。


でも、部屋で着替えをしたときに制服のポケットから出したはずだ……。