エレベーター

1階まで降りてきた時に聞こえて来た機械音。


そして、上るボタンが光ったこと。


一通り説明を押せたとき、一穂が自分の両腕をさすって「こわ~い!」と声を上げた。


対する充弘は「寝ぼけてたんじゃないのか?」と、すごく冷静だ。


充弘の反応にガッカリするものの、一番話を聞きたがっていた幸生は満足そうにほほ笑んでいる。


「やっぱりな。あのエレベーターに関する怪談はなにかしら存在すると思ってたんだ!」


自信満々にそう言い、自分で納得したように何度も頷いている。


「どうしてそう思ってたの?」


一穂の質問にすかさず「エレベーターがついている学校なんて滅多にないからだよ」と、即答した。


確かに、生徒が使用できるエレベーターがついた学校はなかなかないだろう。


でも、それはこの学校が昔障害者向けの学校だったからだ。


そこを残したまま増築するということも珍しいかもしれないが。