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バスに揺られること20分。


あたしたちは咲子さんの家の最寄り駅で下車していた。


周囲はどんどん暗くなってきているけれど、明日になればまた同じことが繰り返されるのだ。


そうなる前に、少しでも前進しておきたかった。


「住所によるとこの辺だな」


光弘が地図アプリを確認しながら先頭を行く。


その後ろについていくと、木製の表札が出してある大きな家が見えた。


そこには『末永』と書かれている。


「ここだ!」


あたしは充弘の前に立ち、呼び鈴に手を伸ばす。


突然訪問してちゃんと話を聞いてくれるだろうかと不安を感じた後、ボタンを押した。


しばらくすると「はぁい」という声が家の中から聞こえてきて、玄関が開かれた。


出て来たのは60代前半くらいの女性だ。


白髪交じりの痩せ型で、この年齢にしては随分とキレイな人だった。