~充弘サイド~

スマホ画面が大きくぶれたかと思うと、エレベーターの中を映し出していた。


「嘘だろ……」


走って学校へ向かいながら、思わず呟いた。


幸生があんなことになってもまだ続くなんて思っていなかった。


今度こそ、美知佳になにが起こるかわからない!


その思いで必死に走って学校へ向かう。


最近部活動をサボっていたからか、全力で走るとすぐに肺が痛み始めた。


それでも足を止めず、走り続ける。


ハァハァと苦しい息が口から洩れて汗が絶え間なく流れ出す。


ようやく校舎が見えてきた時、角から誰かが出て来るのが見えて、足に急ブレーキをかけた。


「充弘、どうしたの?」


それは一穂だった。


右手に紙袋を下げて目を丸くしている。


「美知佳から連絡があった」


俺はそう言い、一穂にスマホ画面を見せた。


画面には怯えきった様子で座り込む美知佳が映っている。