あたしが経験した一連の出来事は夢だったのだろうか?


夢だと思いたかった。


3階に到着すると充弘たちが待ってくれていたが、エレベーターの開閉を見ていた生徒は誰もいないと言う。


もちろん、下ろされていたシャッターもあたしが目撃しただけだった。


だからこそ、夢だと思いたかった。


悪夢なら誰かに相談して悩みを解決すれば見ることもなくなるから。


「夢なんかじゃない」


あたしの淡い期待を打ち砕くようにそう言ったのは幸生だった。


翌日、学校へ行く途中のことだった。