「ハハハハハッ。

見たかい、リリコ。

紗栄子の残酷な人殺しっぷりを。

よっぽどあの男を憎んでいたみたいだ」



生神亮治は自宅の豪華なリビングで高級ワインを飲みながら、紗栄子の残酷な人殺しっぷりをよろこんでいた。



生神亮治は命を司る神のように世間からは思われているが、本当の生神亮治は人間の醜い心が大好きな俗物だ。



生神は無限に生まれてくる命に対して強い関心を示さないが、人間の恨み、憎しみ、嫉妬、執着心などの感情には強い関心を示していた。



「なぁ、リリコ。

この世に聖人君子など存在しないとは思わないか?

あの世に溢れているのは、人間のエゴばかりだ。

そして人間は自己を肥大化させて、複雑な感情を持ち、醜い心で生きている。

あの小原紗栄子のように」



リリコは生神の言葉を聞きながら、この人は何を期待して小原紗栄子を蘇らせたのだろうと思った。



強い復讐心を持った小原紗栄子は我が身を犠牲にしてまでも、憎い相手に復讐を果たしていく。



リリコの目にはそんな紗栄子がおぞましくて、醜い存在に見えていた。



「さぁ、リリコ。

お前もワインを飲んで、今夜のイベントを楽しもう。

なかなか見れるものじゃないからな。

人間が大量に殺されていく光景は」



生神はそう言って箸を伸ばし、血のしたたりが残る生肉を口にした。



リリコはそんな普通とはかけ離れた生神に話しかけた。



「亮治さん。

あなたは人間に不死をもたらす奇跡の科学者と言われているのに、どうしてそんなにも人の死をよろこぶの?

あなたのその気持ちを私にも教えて欲しい」



リリコは自分の類い稀なる美貌を理解しながら、男を魅了するような笑みを浮かべた。