虎治と辰雄は野球部の部室に向かうため、西条学園中学の校舎を抜け出し、校庭へとやってきた。



そして虎治は鍵がかかっている野球部の部室の前に来ると、部室に入るために、思いっきり窓ガラスに蹴りを入れ、窓ガラスを叩き割った。



「虎治君、野球部の部室なんかに来て何するつもりだよ。

そんなことより、オレたちは校門を開けるスイッチを探すべきじゃ……」



虎治が何をしたいかをわかりかねて、辰雄が虎治に話しかけた。



でも虎治は辰雄に言葉を返すわけではなく、窓ガラスが割れた場所から窓ガラスの鍵を開け、強引に野球部の部室へと入っていった。



(虎治君が何を考えているかさっぱりわからない。

まさか窓ガラスを割ってまで、この部室に隠れるつもりじゃ……)



辰雄がそんなことを考えているとき、虎治が部室内で声を上げた。



「あったぜ、辰雄。

こいつを使ってよ、死に損ないの紗栄子をぶっ殺そうぜ」



辰雄はそう言って、バッド置き場から金属バッドを抜き取り、手に取った。