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武の後ろに智樹がピッタリとくっついて歩き、背中にナイフを押し当てていた。


少しでも変な動きをすると、ナイフの刃が武の背中に突き刺さる。


そのため、武は大人しくあたしの家までついて来てくれた。


幸いなことに母親は出かけているらしく、家には誰もいなかった。


「丁度いいタイミングだったみたいだね」


あたしは武の靴を持って自分の部屋に向かった。


人が隠れられる場所と言えば、クローゼットの中しかない。


上段と下段に別れていて、下段には透明ケースに入った季節外れの衣類が置かれている。


あたしは透明ケースをすべて引っ張り出すと、床に毛布を引いた。


「ちょっと窮屈だけど、ここで我慢しててね?」


振り返ると、智樹によって手足を縛られた武が転がっていた。


なにか言いたそうにあたしを睨み付けているけれど、その口にも猿轡がかまされている。


あたしと智樹は2人で武を抱えるようにしてクローゼットの中へ押し込めた。


立ち上がることはできないけれど、体を伸ばすことはできる。


棚の中で拘束されていた智樹より、少しはマシな状態だ。