第9話 夢ひろがる朝の会
それからまもなく、かおりちゃんは、やっとみんなの前で話すことを心に決めて、腰が重そうに席を立つと、みんなの拍手に包まれる中を、教室の前のほうに静々と歩み出ていった。そして岩山先生に一礼をしてから教壇の上に立つと、みんなにも軽くお辞儀をしてから、話を始めた。
「ではみなさんのリクエストにお応えして、カンボジアや、絵本を送るボランテイアのことについて、もう少し、詳しく、お話をさせていただきます。聞いてください」
かおりちゃんの話に、岩山先生も、クラスのみんなも、熱心に聞き入っていた。
カンボジアにもタケオという町があることや、ここの学校の先輩に、カンボジアで戦争写真を撮っていて地雷を踏んで亡くなった人がいることや、その人をモデルにした映画も作られていることを、かおりちゃんが話したら、
「へぇー、それ本当 ? 」
と言って、クラスのみんなが、興味津々の顔をしていた。
かおりちゃんの話が終わると、岩山先生も、クラスのみんなも、再び、教室が揺れるほどに大きな拍手をしてくれたので、かおりちゃんは自分の席に戻りながら、恥ずかしそうに頭をかいていた。
再び教壇の上に戻った岩山先生が、
「ねえ、みんな、今日の放課後、図書室で、カンボジアのことについて調べてみない ? 」
と、提案していた。すると、クラスのあちこちから、
「賛成 ! 」
「いいわね」
「うん、そうしよう」
といった、ボールがはずむような声が返ってきていた。
「ねえ、先生、かおりの話によると、カンボジアにもタケオという町があるそうですね。そこに住んでいる子どもたちと、私たち武雄の子どもたちと交流をするのもいいと思いませんか ? 」
かおりちゃんの斜め前の席にすわっていた女の子が、ほおをバラ色に染めながら、そう言った。
「いいわねえ。私たちの学校と、カンボジアのタケオにある学校が姉妹校になって、楽しい交流をするのも夢があっていいわね」
岩山先生の胸の中には、青空に輝く虹のような、二つの学校のかけ橋が描かれているように、ぼくには、このとき、思えた。
「武雄は名前が縁で、北海道の雄武町と交流しているけど、もうひとつ名前が縁で交流する町ができたらいいわね」
岩山先生がそう言うと、クラスのみんなが、にっこり、うなずいていた。
「先生、姉妹校って、なんですか ? 」
体の大きな男の子が、体とは裏腹に小さな声で聞いていた。
「学校同士が、きょうだいのように仲良くすることよ」
岩山先生が、麦畑でさえずるヒバリのように明るい声で答えていた。
「先生、かおりがさっき、この学校の先輩に、カンボジアで戦争写真を撮っていて地雷を踏んで亡くなった人がいると言ってたけど、その人のことについて調べてみるのはどうでしょうか」
髪の毛が長くて、背が高い女の子が聞いていた。
「そうねえ、それもいいわねえ。そのかたが亡くなっておられるのは本当に残念だけど、そのかたのご親族のかたがおられるかもしれないから、そのかたを学校にお呼びして、そのかたのことについて、いろいろとお話を聞かせていただけたらいいかもしれないわねえ」
岩山先生は提案をした女の子に軽くうなずいてから、
「考えておくわ」
と、答えていた。
それからまもなく、朝の会の終わりを告げるチャイムが鳴ったので、岩山先生が、かおりちゃんを見て、
「佐倉さん、今日はすてきなものを見せてくれてありがとう。お話もとてもすばらしかったわ」
と、もう一度、かおりちゃんにお礼を言ってから、春風のようにかろやかに、職員室に引き上げていった。
それからまもなく、かおりちゃんは、やっとみんなの前で話すことを心に決めて、腰が重そうに席を立つと、みんなの拍手に包まれる中を、教室の前のほうに静々と歩み出ていった。そして岩山先生に一礼をしてから教壇の上に立つと、みんなにも軽くお辞儀をしてから、話を始めた。
「ではみなさんのリクエストにお応えして、カンボジアや、絵本を送るボランテイアのことについて、もう少し、詳しく、お話をさせていただきます。聞いてください」
かおりちゃんの話に、岩山先生も、クラスのみんなも、熱心に聞き入っていた。
カンボジアにもタケオという町があることや、ここの学校の先輩に、カンボジアで戦争写真を撮っていて地雷を踏んで亡くなった人がいることや、その人をモデルにした映画も作られていることを、かおりちゃんが話したら、
「へぇー、それ本当 ? 」
と言って、クラスのみんなが、興味津々の顔をしていた。
かおりちゃんの話が終わると、岩山先生も、クラスのみんなも、再び、教室が揺れるほどに大きな拍手をしてくれたので、かおりちゃんは自分の席に戻りながら、恥ずかしそうに頭をかいていた。
再び教壇の上に戻った岩山先生が、
「ねえ、みんな、今日の放課後、図書室で、カンボジアのことについて調べてみない ? 」
と、提案していた。すると、クラスのあちこちから、
「賛成 ! 」
「いいわね」
「うん、そうしよう」
といった、ボールがはずむような声が返ってきていた。
「ねえ、先生、かおりの話によると、カンボジアにもタケオという町があるそうですね。そこに住んでいる子どもたちと、私たち武雄の子どもたちと交流をするのもいいと思いませんか ? 」
かおりちゃんの斜め前の席にすわっていた女の子が、ほおをバラ色に染めながら、そう言った。
「いいわねえ。私たちの学校と、カンボジアのタケオにある学校が姉妹校になって、楽しい交流をするのも夢があっていいわね」
岩山先生の胸の中には、青空に輝く虹のような、二つの学校のかけ橋が描かれているように、ぼくには、このとき、思えた。
「武雄は名前が縁で、北海道の雄武町と交流しているけど、もうひとつ名前が縁で交流する町ができたらいいわね」
岩山先生がそう言うと、クラスのみんなが、にっこり、うなずいていた。
「先生、姉妹校って、なんですか ? 」
体の大きな男の子が、体とは裏腹に小さな声で聞いていた。
「学校同士が、きょうだいのように仲良くすることよ」
岩山先生が、麦畑でさえずるヒバリのように明るい声で答えていた。
「先生、かおりがさっき、この学校の先輩に、カンボジアで戦争写真を撮っていて地雷を踏んで亡くなった人がいると言ってたけど、その人のことについて調べてみるのはどうでしょうか」
髪の毛が長くて、背が高い女の子が聞いていた。
「そうねえ、それもいいわねえ。そのかたが亡くなっておられるのは本当に残念だけど、そのかたのご親族のかたがおられるかもしれないから、そのかたを学校にお呼びして、そのかたのことについて、いろいろとお話を聞かせていただけたらいいかもしれないわねえ」
岩山先生は提案をした女の子に軽くうなずいてから、
「考えておくわ」
と、答えていた。
それからまもなく、朝の会の終わりを告げるチャイムが鳴ったので、岩山先生が、かおりちゃんを見て、
「佐倉さん、今日はすてきなものを見せてくれてありがとう。お話もとてもすばらしかったわ」
と、もう一度、かおりちゃんにお礼を言ってから、春風のようにかろやかに、職員室に引き上げていった。

