目が覚めた時、あたしは病院のベッドの上にいた。


白い部屋、消毒の匂い、点滴のパック。


体中が痛くて動かすこともできなくて、目だけ動かしてそれらを確認していった。


自分の呼吸音だけが規則正しく聞こえて来る。


誰かいなのだろうか?


どうして自分はここにいるんだろうか?


少し右手を伸ばしてみると、肩のあたりから鋭い痛みが全身に駆け巡った。


ナースコールのボタンがあるはずなのに、そこに手を伸ばすことも困難だった。


諦めて誰かが入って来るのを待とうと思った時だった。


いいタイミングで病室のドアが開く音が聞こえていた。


看護師さんか担当医の先生が来てくれたのだろう。


そう思っていた視界に入ったのは和人の姿だった。


和人、なんで?


そう聞きたいけれど、声がでなかった。