透は呆れ顔だ。


そういえば、あたしは悪魔山へ登ったはずだ。


そこで祠を見つけて……それからどうしたんだっけ?


思い出そうとすると頭が痛くなった。


顔をしかめていると「大丈夫か? どこか痛むか?」と、透が心配してくれた。


「大丈夫……」


そう返事をして立ち上がる。


あたしはいつ、どうやってフェンスのこちら側へと戻って来たんだろう?


高いフェンスを見上げて首を傾げる。


「友里ちゃん、今日は内に泊まって行きなさい」


後ろから透のお母さんがそう声をかけてきた。