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「誰かが悪魔山へ行くと、行方不明者が増える」


帰り道、あたしはそう呟いた。


今隣県で起きている事件も、10年前の事件も、共通点があるとすればそこだった。


「どうして?」


隣を歩く透にそう聞かれてあたしは立ち止まっていた。


これはあたしの憶測だけど、たぶんそうだと言い切れる事があった。


「出て来たソレが、食べているから」


そしておそらく、母体となった人間も食べられている。


照平の父親、そして夕夏の友人のことだ。


願いを叶えたソレは母ですら、食事の対象にしてしまうのだ。


だから、あたしもいつかは……。


そこまで考えて振り向いた。


今まで感じたことのない、強い視線を感じる。


すぐ近くに誰かがいるような息遣いが聞こえて来る。


だけどなにも見えない。