悪魔山ができたのも、それが原因だった。


「だけどね、それも善しあしなんだって」


「え?」


あたしは梓の言葉に首を傾げた。


「名前を手に入れた怖い物は、その名称で人々に呼ばれるようになる。そうするとね、意識を持ち始めるんだって」


梓の話しにあたしは瞬きをした。


「例えばさ、この空間なんだか怖いなって場所があったとするでしょ? そんな時人はその場所の事を心霊スポットと呼んだりするんだよね。そうすると、何もない場所でも本当に幽霊が寄りついてしまうんだって」


「そんなことがあるの?」


あたしの質問に梓は肩をすくめた。


「さぁね? あたしのお爺ちゃんはそう信じてた」