あたしはテレビから離れて2人へ近づいた。


「学校の外だと先生が気が付かないと思って、そのまま家に帰る生徒もいたぞ」


お父さんが懐かしそうに言い、お母さんが笑う。


「帰っちゃってもいいの?」


「ダメに決まってるだろ。だけどその程度の気持ちでも大丈夫ってことだ」


「そうなんだ……」


思えば全校生徒が同時に走っているのだから、あたしが1人抜けた程度じゃ気が付かれないだろう。


そうとわかれば、随分と気が楽になったのだった。