「いい加減にしてよ」


あたしの下で夕子がそう言い、あたしの手を掴んだ。


何度も殴ったハズなのに夕子は平気そうな顔をしている。


「え……」


「あんたのパンチなんか大したことないっつーの」


夕子はそう言って笑い声を上げた。


再びカッと頭に血が登る。


けれど、柱の陰から出て来た2人の人物を見て怒りが急速に冷めて行くのを感じた。


「いい動画が撮れたよ!」


そう言ったのはスマホを持った朱里ちゃんだ。


一緒に出て来たのは、同じようにスマホで撮影をしている友里恵ちゃんだった。