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「賄い入れよ。三人とも」
お昼の食堂の客足が途絶えてきたあたりで、レイモンドが言う。そういう彼は、立ったまま自分の分の賄いを口にしていた。
今日のお昼はシチューをアレンジしたドリアだ。クリームソースのいい匂いに、ロザリーの見えざる尻尾はぶんぶんと揺れまくっている。
「うまそうに食うなぁ」
大柄なランディが、ニコニコしながらロザリーを見ている。どうやらランディは見かけによらずかわいいものや小さいものが好きらしい。ロザリーに対する態度は、完全に子供に向けたものだ。
あれから、みんなとちゃんと自己紹介をした。
レイモンドが二十八歳。切り株亭店主だ。実際の店主はレイモンドの父のアランだが、母親の実家にふたりとも行っていて不在なため、彼が取り仕切っているのだという。おそらくだが、リルの“ご主人様”はアランなのだろう。
ランディは三十歳で、十七歳のころからここに勤めている古株だ。宿の修繕、荷運び、風呂の管理など宿屋全般の整備をレイモンドの父親とともにやっていた彼は、主に厨房の知識しかないレイモンドにとって、失うことのできない相棒なのだという。
「いっぱい食えよ」
ニコニコしながら頭を撫でるランディに、チェルシーが茶々を入れる。
「あら、ランディ、女性の髪を軽々しく触るものではないわ」
「女性って……ロザリーはまだ子供だぞ?」
「子供ならレイモンドが雇わないわよ。ロザリー、いくつなんだっけ」
「十六です」
「ほら、私が働きだした年と一緒よ。いつ大人扱いされてもおかしくないわ」



