家出令嬢ですが、のんびりお宿の看板娘はじめました


たしかに失せもの探しは得意ではあるけれど、リルのときよりは嗅覚が落ちている。
看板にまでされると荷が重いのだが。

(ザック様、一体何を考えているのでしょう。まあでも、ここで雇ってもらえるのなら頑張るのみでしょうか)

「でもそっちの仕事がない日は私と一緒に掃除よ」

きらんとチェルシーの目が光った。プロのまなざしだ。屋敷の使用人にもこんな目つきをする人がたまにいた。とにかく自分の仕事にプライドを持っているのだ。

「が、頑張りますっ」

「これからよろしくね、ロザリーちゃん」

チェルシーににっこりとほほ笑まれ、嬉しいのと同時にぞくりとしたのは、彼女の手から消毒薬の匂いがプンプンしたからだろうか。

午前中、やる気になったチェルシーに掃除の仕方を仕込まれたロザリーは、昼休憩の頃にはあっさりと筋肉痛になったのだった。