「謝罪を要求する。でなければこのコインも渡せないな」
「……若造が生意気な……」
食って掛かろうとするゲイリーをボビーが止める。
「やめて、お父さん、僕謝る」
そして、チェルシーのもとへ向かい、ぺこりと頭を下げた。
「疑ってごめんなさい。でも僕、……僕」
「大切な宝物が無くなって悲しかったのよね。見つかってよかったです。でも私も、疑われて悲しかったわ」
「……ごめんなさい」
チェルシーはそもそもが心優しい女性のようで、いつまでも意固地にはなっていない。少年の頭を優しく撫でた。
それを陰から、潤んだまなざしで見つめているのがランディだ。大きな体を戸口に隠すために体をくねられているので気持ちが悪い。
ゲイリーはと言えば、ザックからの冷たい視線に耐えられなくなったように、渋々ではあるがチェルシーに頭を下げた。
なにはともあれ、一件落着である。
「……ザックさん、すごいです」
ロザリーはほう、とため息をついた。変色した硬貨を元に戻せるなんてロザリーは知らなかった。もし知っていたら、昔変色したと嘆いていたあの人にも、教えてあげられたかもしれないのに。
「いや? 君がいなければ解決しなかった話だろう。鼻が利くというのは本当のようだな。昔からなのか?」
「いえ……あの」
ロザリーが口ごもったのを見て、「まあ、まずは解決のお祝いといこうじゃないか」と記念硬貨を指ではじき上げた。くるくると回転して再びザックの手の内に戻ったそれを見て、ザックは口もとを緩める。
「表だ」
それがいいことなのか悪いことなのかロザリーにはわからない。ただ、ザックがとても楽しそうに見えたので、よしとすることにした。



