「どうだ? 間違いなくこれが君の記念硬貨だ」
「ほ、本当だ……」
ボビー少年は驚きのあまり開いた口がふさがらないようだ。
「だが」と付け加えた彼は、ポケットをまさぐると一枚の金貨を取り出した。
「実は俺も、記念硬貨を持っている。この変色したコインは実に興味深い。君さえよければ、俺のコインと交換してもらえないか?」
ザックの硬貨は、ひとつの曇りもなく光り輝いている。一度でも錆びてしまったものと比べれば美しさは比べるべくもない。ボビーはあっという間にそれに魅了された。
「こっちのほうが綺麗だ。いいの? お兄ちゃん、ありがとう」
「いや……。せっかく王政を祝うために田舎から出てきて、ようやく買えたものが一日で変色するのでは気の毒だからな」
「す、すみません、ありがとうございます」
ザックの対応に、ゲイリーも先ほど子供を殴ろうとしたことなど忘れたように機嫌を直して頭を下げる。
「だが」とザックは厳しい表情になり、もう一言付け加える。
「チェルシーへの謝罪だけはちゃんとしてもらおうか。君たちはこの宿の従業員を疑った。誇りをもって仕事に従事する人たちを確たる証拠もなく疑うことは恥ずべきことだ。きちんと謝罪していただきたい」
「でも、我々は客だ……!」
「客だから何をしてもいいと? あなたが支払っている宿代は、快適なベッドと外敵の入ってこない空間を確保するためのものだ。決して、人の名誉を棄損して許容されるような金額は払っていないだろう?」
「それは……」



